FNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFN

           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

================================================================

    ★第168号       ’03−02−14★

================================================================

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

     元気の原理

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

●前回の<彼>シャクルトン

 

は体力、IQ、EQ、どこを取ってもスーパー。 昔の歌▼を思い出し

ましたよ。 ♪強いばかりが男じゃないと いつか教えてくれた人♪

 

当時たまたま私は浅草の住人、隣りの工場のアンちゃんがそれを飽きず

に歌う、と言うよりワメク、のを毎日聞かされ大メーワクでした。

 

  ▼<浅草の唄>:昭和22年、万城目正作曲、藤山一郎。 作詞者

   サトウハチローは我が早稲田中学(ほかにも転々したそうですが)

   の悪名高き先輩(とは未だ1年生だったので知りませんでしたが)、

   熱血小説作家の父佐藤紅緑共々、いわばEQ教祖。

 

が、この世にそんな<男>滅多にいない、と知るには手間取らなかった。

<強い>のは(少なくなった今でも)いるでしょううが、その男が<情

にも厚い>ことは稀。 いても西郷隆盛じゃないけれど、多くの部下を

死なせたり、自らも全うせずに終わったり、何故か破滅的。 

 

部下を<生かす>のがリーダー、そこに<情>は不可欠。 だが近頃の

<情>モドキは実質 Take の前の Give、下心が透けてむしろ逆効果に

なったり。 その点シャクルトンは無私公平。 誰にでも語りかけ、

 

率先的に行動した<強いばかりじゃない>人ですから、部下たちも気分

良く従ったろうし、それが全員を文字通り<生かす>ことにつながった。

即ち<彼>、<いつか教えてくれた人>でもあったわけですな。 

 

 

人間は感情の動物、能力発揮は気分次第。 なら、気分良く働かせりゃ、

即ち encourage すりゃ良さそうなものだが、何故か discourage する

<上>が多い、と再々(52、78、125号)書きました。 ハッパをかける

ことが encourage 、とでも誤解しているのでしょう。

 

昨年末の話。 その会社、師走は特に繁忙を極めるが早めに切り上がる

商売。 5日制だ、きっと28日土曜から正月休み、と一同当て込んで

いたら何と、<上>の決定は「29日から」。 

 

で28日、<上>は朝から役員会、取引先はほぼ休業。 意気上がらぬ

午後3時、集まれ!で専務殿が登場。 演説の趣旨は「年末賞与は出せ

たがこの業績、期末(3月)分はゼロ」、

 

銀行出身役員の強力な主張に従って、の由。 憮然、声も無い社員たち

に(この人の口癖で)「拍手が聞こえないぞ」。 応えてゴマスリ数名

のみパチパチ、、 いやはや discouraging な情景であった、そうです。

 

  <演説>の MUST、WANT は何? それは<演説>で達成されたか?

  と Rational にお考え下さいましたかな、専務殿?

 

役員会で<業績>は論じたようだが、そのもとになる<人>を奮い立た

せる必要や、そのための手段については考えもしなかった、に違いない。

 

<上>がみんな低EQ(第160号)<9・1型>(第161号)なのだろう。

 

*   *

 

<上>は何を考えているのやら? や、何を言っても聴いてくれない、

なんていうのはバラバラ会社。 company の語源(ラテン語 com panis、

パンを共にする、<同じ釜の飯を食う>。 <コンパ>はまさに語源的

行為!)的意義からすれば、会社メンバーは一心同体でなくちゃ、、

 

この会社、<上>主宰の忘年会など(もちろん)催されませんでしたが、

<飲み食い>に積極的な興味の無い私ですら、そんな時にこそパーッと

盛り上げる工夫があって良かったんじゃないか、くらいには思います。

 

  <飲み食い>のような原始本能の行為を共にすると一体感が高まる、

  と信じてやたら部下を飲食に誘う男がいましたがね。 尤もあいつ

  のは<過ぎたる>で、結果は常に<及ばざるがごとし>だったな、、

 

どこもダメなリーダーばかり、、、

 

************

 

 

 

●しかし<彼>は周到。

 

約百年前、食料や燃料の保存技術がどんなものであったか知りませんが、

本の記述では驚くほど<豊か>でした。 流氷に捕まり、船も失った後

の絶望的なクリスマスが「オイル漬けのアンチョビ、煮豆、野ウサギの

シチュー」。 しかもそのシチュー、<彼>には「学生時代以来、夢に

見たこともないような素晴らしい味」だったくらい。 (p.145)

 

サウスジョージア島への<悪夢の航海>は「男たちは、温かいミルクを

飲みつつ、、」とある。 えっ?ミルク? すでに粉末化されていたん

ですな。 しかし大揺れの狭いボートの中、水に溶き、コンロで加熱し、、

さぞ楽ではなかったろう。

 

<彼>はその効果を「(食事は)荒天に身も凍る日々の中で明るい光と

なる。 食べ物と飲み物がもたらしてくれる温かさと安らぎによって、

われわれは前向きになれた」と記している。 (p.246)

 

苦境にあっても食事をおろそかにせず、体力、精神力の維持を図る、、

「腹が減っては戦は出来ぬ」、アタリマエのことです。 が、現実には

「貧すれば鈍す」、肝心の時にその基本を忘れてしまいがち。

 

以下、それを忘れない人は強い、という話の日本版。

 

 

年初のNHK、ETV2003<シリーズ日本人への提言>。 第1回「不況

下で強く生きるには」で体験を語ったのは直木賞作家、山本一力氏。

 

彼の受賞作品<あかね空>は、「不況に苦しむ江戸時代中期、豆腐屋の

一家が、互いにぶつかり合いながらも絆を強め、商売を繁盛させて行く」

話だそうで、、 と

 

推定的に言うのは、あいにく読んでいないから。 国産小説にはあまり

興味が無いのです。 翻訳物は、アチラ風のものの考え方を知るために

有益なので、かなり読みますが、

 

コチラの文化で出来上がった物語は、たとえば上記1行半の解説で概略

見当が付いてしまいます。 そりゃ江戸時代にも不景気はあったろうよ、

家族同士で諍うこともあるだろうさ、それでも

 

結束すれば相応の成果が、、てな具合。 時間を割いて読むまでも無い。

が、面白いと感じたのは、山本氏と<彼>シャクルトンの類似性でした。

 

*   *

 

<彼>が遭難的状況を率直に受け容れ、直ちに方針を変更、部下に説明

して結束を固めたことは前号既述。 アタリマエだが、勇気が無ければ

出来ないことです。 

 

山本氏は、ビデオ・スタジオを営んで失敗し、2億円の債務を負うこと

になった時、まず(<彼>同様)その<負け>を率直に認めました。

 

(誰でも、目前の状況を率直に)「認めれば、じゃ、こうしよう、こう

しなくちゃ、が見える。 目をそらしてごまかす癖を付けると、自分を

騙し始めることになる。 自分に対して幻想を抱いてはいけない」

 

「皮算用で自分をごまかすのは良くない。 自分を励ますプラス思考の

つもりだろうが、実はイヤなことに正面から向き合いたくないだけかも。

1日伸ばすと、片付くことも片付かなくなる」

 

「負けを認める勇気を持つべきだ。 認めると希望につながるスタート

が切れるものだ」 前述の<専務>、業績不振を自分の負けと見てない。

勇気が無いんですな。 じゃ、<希望へのスタート>も無いでしょう。

 

*   *   *

 

旅行代理店、広告会社、雑誌編集など経験は豊富な山本氏だが、2億円

返済の手段として「小説を書く!」とはいくら何でも、、

 

と私は疑ったが英利子夫人は迷わず支えた。 山本氏を評して「ダメで

落ち込まない人、思い切って認めてしまう人、すると別の扉が開く人」。

        (我が女房、そこまでオレを信じてくれてるかな?)

 

山本氏自身、「<小説>は何の根拠も無い方法だったが、それで債権者

を説得した。 一生かかっても必ず、、と。 誰も本気にしなかった」。

                        (やっぱり?!)

 

「もめ事の解決は、直面している者同士の結束協力で。 それが無いと、

何も解決しない。 互いになじったり罵ったりではダメ。」 おや?!

 

「稼ぐ役は自分、切り盛りするのは女房、の役割分担。 女房は家計の

切り詰めに汗を流した」。 昼は商事会社勤め、小説は夜執筆。 応募

しても落選ばかり。 漸く8年目の去年1月、第126回直木賞を獲得。

 

その切り詰め生活の間も<豊かな食事>を欠かさなかった由。 いわく、

「金持ちらしい金持ちが最上、次善は貧乏人臭くない貧乏人、その下は

貧乏臭い貧乏人、最悪なのは貧乏臭い金持ち。 最上であり得ないから

には次善で行こう。 <貧乏臭くない貧乏人>をやろうぜ、、」

 

「食い物は毎日のもの、エネルギーのもと。 これをさもしくお手軽に

すると、精神が病んでしまう。 食うならタイ、ヒラメ。 と言っても

1パック百円の<アラ>。 あとは料理のウデ、リッチな気分。 タイ

食ってるんだからな、、と」

 

「当事者同士が協力して知恵を使えば、そのこと自体が楽しみになる、

気持ちが豊かになる、元気になる、笑える、勇気が出る」 気分良く、、

は<彼>と同じ流儀。 そして山本氏も地獄を抜けることが出来た。

 

「笑うには互いに向き合っていないと、、 家族は本来、利害一致の仲。

言ってもムダ、分かってくれない、、で団結しないようではダメ。

 

その問題の大きさを共に認識しなくちゃ。 それは難しくない、現実を

1回見れば済むのだから」

 

状況を正しく認識する勇気、苦境打開の決意、心身健全のための食習慣、

そしてチームワークの尊重、、 <地獄からの生還>を果たす秘訣には、

時間と空間を超えた符合がありました。 人間の基本原理だから当然、、

かも知れません。 (それは Rational Process も、ですがね) 

 

*   *   *   *

 

それにしても2億円、直木賞だけなら200回分。 <あかね空>だけ

の人ではもちろんないにしても、筆1本でそんなに稼げるものかしら?

 

************

 

 

 

●じゃ、サーモ屋は?

 

ですか? さよう、思い出す<飲み>はコーヒー、<食い>はドーナツ。

朝のミーティングは<セルフ・サービス、お代わり自由>方式でした。

 

準備するのは私。 途中でドーナツを仕入れて一番に出社し、コーヒー・

メーカーを仕掛けておいて応接室と来客用トイレを清掃する。 やがて

デコ助ども出勤、次々<飲み食い>に加わって暫し雑談タイム。

 

  問題は常に彼らの話題の乏しさでした。 思わず、「君ら、夜、何

  してるんだ? 新聞、TV、本、映画、色々あるのに、、」

 

  すると逆に、「竹島さん(サーモ屋は肩書き抜き)はいつ、、?」

  と訊かれてしまった。 彼らより先に帰ることなど滅多に無かった

  ので、、 「睡眠時間の差、かねえ、、」 答えになってないか?

 

そして定刻、簡単な確認と新しい伝達。 で、プレーボール!

 

  これが有効に機能したせいか、我が社、およそ<会議>なるものを

  催したことが無かった。 小企業だから当然、ではありますが、、

 

 

缶コーラが朝飯代わり、不健康な習慣の若者がすでに発生していたので、

ましな糖質とカフェインの注入が人質管理の観点からも必要、で始めた

習慣でした。 それにコーヒーの香り、ヤル気を湧かせますしね。

 

各部署の稼働状況については、私流の Management By Walking Around、

あるいは Management By Working Together。個別の問題はその現場へ

赴いて、個別に対処しました。 <絆>とまでは考えませんでしたが、

結束は固く、そのせいかある時、

 

訪ねて来た労組上部団体のオルグに、「これが経営者か?!」と嫌われ

てしまった。 よほど<労働者>臭かったのかも。 小企業の主という

のはそこで一番の働き手のこと、と信じていましたから<臭く>て当然、

これが経営者なのさ、といなしましたが、、

 

*   *

 

<上>がアタリマエの実行を怠らないことが何よりの encouragement。

それ無しで結束や協力を望んでも、多分、形だけに終わるでしょう。

        <聖域無き構造改革>とやらもですぜ、小泉さん。

 

何がアタリマエか Rational Process で論じ合えば、認識の共有化は

難しくない。 その結束で当たれば、遠からず苦境は克服できます。

 

まず<まずいこと>を<まずい>と認めること。 それは勇気の問題、

さよう、Rational Process は <使い手の勇気>で生きる技法です。

                         ■竹島元一■

     ■今週の<私の写真集から>は ★時空超越★

 

================================================================

FNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFN

                      ■ホームページへ戻る